2017/07/03[mon] update

special interview/鈴井貴之さん【OOPARTS Vol.4/天国への階段】

OOPARTS新作のテーマは「特殊清掃員」。見どころや魅力に迫ります。

鈴井貴之さんが手がけるプロジェクト「OOPARTS(オーパーツ)」。第4弾となる今夏の新作舞台では〝特殊清掃員〟がテーマです。いまや年間3万人にも上る孤独死。死後のアパートを片づけ修復する特殊清掃員たちの物語を、OOPARTSらしくコミカルな舞台に作り上げます。〝重たくて暗い〟と思われがちなテーマをあえて選んだ鈴井さんを直撃しました!
鈴井貴之さん
北海道赤平市出身。「CREATIVE OFFICE CUE」所属。大学時代に演劇の世界に入り、平成2年に劇団「OOPARTS」を結成。解散後はタレント・構成作家として「水曜どうでしょう」(HTB)など数々の番組の企画・出演に携わる。平成13年より映画監督としても活動を開始。現在までに4作のメガホンを執る。平成22年より、「OOPARTS」プロジェクトを始動。作・演出・出演として舞台作品を手掛け、表現の枠にとらわれない作品を輩出。
前作の「HAUNTED HOUSE」から1年半。なぜ〝特殊清掃員〟をテーマに?
2012年の舞台「樹海」で〝死〟をテーマに扱ったこともあり、いろいろな資料を見聞きする中で、今の日本では年間3万人もの孤独死があると知ったんです。自殺や交通事故より多いことは衝撃でした。その後処理、つまり特殊清掃をする会社は全国に20社ほどあるそうなんですが、大変な仕事だろうなと思ってホームページ検索をしてみたら、それはもう壮絶な画像が出てきて…。そこには亡くなった人、働く人それぞれの物語があるわけで、これは話を膨らませられるんじゃないかと考えました。

舞台化にあたり不安は?
これはTVドラマではまず出来ないテーマだと思うんです。ドキュメンタリーとは違ってお茶の間に流せる映像ではないですから。舞台だからこそできるテーマだと思います。そもそも、誰かが作った定型に当てはめていく舞台作りに興味がないんです。みんながしない発想やアプローチをするのが僕のやり方です。それで失敗したら「ダメだったか」って笑って酒でも飲めばいいやと思っているので(笑)。不安というのは違うかもしれませんね。

今回のキャスティングの基準を教えてください。
先入観を持たれない人を選んだ、というのはありますね。永野宗典さんの所属するヨーロッパ企画はナチュラルな演劇、かたや畑中智行さんの所属するキャラメル企画はしっかりとした正統派の演劇。普通ならそれを組み合わせようとは考えないと思うんですが、バラバラのままのハバケ感や、そこで起こる化学反応を楽しんでもらえたらと思っています。

北海道ではおなじみの藤村忠寿さんは今回も?
彼のことは毎回外そうと思ってるんですけどね(笑)。今回ほとんどのキャストが初めてのメンバーとなった中、非常に頼もしい存在です。演者というよりは気心の知れたチームメイト。彼はああ見えてすごく真面目に頑張るんです。一生懸命に稽古するし、とことん真剣に考える。長年役者をやっている我々であれば、もう忘れてしまったような新鮮な姿勢を見せてくれるんですよ。

それにしても重いテーマですね。
そこをコミカルにいくのがOOPARTSです。テーマはボディブローでも、どれだけ明るくバカバカしい舞台になっているか、ギャップを楽しんでもらいたいですね。「孤独死の舞台観てきたよ。面白かったわ」って言ったらみんなビックリするでしょ(笑)。

楽しんじゃっていいんですか。観た人がくみ取るべき深い意図もあるのでは?
僕は舞台を観てくれた人が何を思うか、どう考えるかは自由だと思ってるんです。先回りして何かを押し付けることはしたくない。僕なりの意図というものはもちろんありますが、それは「くみ取っていただければ幸いでございます」とでも言うべきもので…。楽しんでいただくことがまず第一ですね。

OOPARTSの舞台というといつも大がかりな美術が話題になりますが、今回は?
孤独死をしてから1年がたった乱雑なゴミ屋敷というのが今回の設定です。役者にとっては、まあ、歩きにくい舞台になるでしょうね。今言えるのはそれくらいかな。だいたい僕は安全な板の上でのお芝居より不安定な状態の方が興味があるんですよね。

舞台をより楽しむための秘訣はありますか?
現実では孤独死後1週間で、現場は相当悲惨な状態になると言われています。今回の設定では、それが1年以上。まずは虫との戦いですね、それからにおい。具体的な〝物〟は一切出さずに伝えていきます。頭をフル回転して観ていただけたら、より楽しんでもらえると思います。

舞台を通じて伝えたいことは?
特殊清掃員って「やりたくない」と考えるのが普通ですよね。彼らがなぜその仕事を選んだか、どんな過去があるのか。彼らを取材する追っかけクルーが解き明かしていくんですが、最後にみんながつながっていたことが分かるというストーリーなんです、亡くなった人も含めて。孤独死ではあるけれど、一人じゃない。今はたまたま一人でいるかもしれないけれど、世界のどこかでその人を気に留めている人が必ずいる、そんなメッセージを感じてくれたら嬉しいなと思っています。清掃員の人たちが作業現場を通じて生きていくことの大切さ、生命の尊さをつかんでいく姿からも。…なんて大風呂敷を広げちゃいましたが。楽しんで観ていただけたら、非常に嬉しいです!

information

TAKAYUKI SUZUI PROJECT OOPARTS Vol.4「天国への階段」
http://ooparts-hokkaido.net
札幌公演
8月11日(金) 19:00
8月12日(土) 13:00/17:00
8月13日(日) 13:00
会場/道新ホール(札幌市中央区大通西3丁目 道新ビル大通館8階)
料金/6,800円(税込) ※札幌公演 ローソンチケット(Lコード:10100)
公演に関するお問い合わせ/オフィスキューお問い合わせダイヤル
TEL.011-219-0939(平日10:00〜17:00)※時間外自動音声対応
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