企業の垣根を越え、かかわるすべての人を幸せに。【岩田地崎建設株式会社】
2023年10月2日 公開
1922年(大正11年)創業。道内有数のゼネコンとして知られる岩田地崎建設株式会社。1939年(昭和14年)札幌市として初の鉄筋コンクリート製の橋「一条大橋」を手掛けるなど、常に時代をリードしてきた同社は現在、土木建築事業だけでなく、脱炭素やまちづくりなど社会貢献事業にも取り組んでいる。副社長の岩田幸治さんに、家業を継ぐまでの苦労や今後の展望を伺った。
後継ぎを決意したきっかけは、軽い気持ちからだった。
幼少期はテレビを観ることやスポーツの本を読むのが好きだった岩田さん。中学から大学時代にかけてロックバンドを組んでいたこともあり、将来はテレビやスポーツ、音楽など、好きなことすべてにかかわれるマスコミの仕事に就きたいと考えていたそうだ。高校を卒業後、進学先に選んだのもマスコミ業界への就職に強いとされる法政大学だった。「敷かれたレールの上は走らない」と家業を継ぐ考えはなかったそうだ。
「考え方までロックでとがっていたんでしょうね(笑)。社長である父からも後継ぎの話が無かったので、大学ではマスコミ業界を中心に就職活動をしていました。そんな中、たまたま参加した合同企業説明会に岩田地崎建設のブースが出ていて、軽い気持ちから立ち寄ってみたんです。身近な存在だった父の会社を客観的に見たことで、思いも寄らず家業に興味がわきました」
この出来事を機に父親の仕事に対する考え方や会社の事業内容、働く人たちのことを知りたいと思うようになり、会社に顔を出すようになった岩田さん。
「何度か足を運ぶうちに、この会社を良くしたいという思いが徐々に大きくなっていきました。従業員も子どものころから可愛がってくれたなじみの人が多く、いつしか育ててもらった恩を返したいと考えるようにもなったんです」
「考え方までロックでとがっていたんでしょうね(笑)。社長である父からも後継ぎの話が無かったので、大学ではマスコミ業界を中心に就職活動をしていました。そんな中、たまたま参加した合同企業説明会に岩田地崎建設のブースが出ていて、軽い気持ちから立ち寄ってみたんです。身近な存在だった父の会社を客観的に見たことで、思いも寄らず家業に興味がわきました」
この出来事を機に父親の仕事に対する考え方や会社の事業内容、働く人たちのことを知りたいと思うようになり、会社に顔を出すようになった岩田さん。
「何度か足を運ぶうちに、この会社を良くしたいという思いが徐々に大きくなっていきました。従業員も子どものころから可愛がってくれたなじみの人が多く、いつしか育ててもらった恩を返したいと考えるようにもなったんです」
勤め先の倒産、大学院入学…。経験と知識を手に入社へ。
後を継ぐのであれば一度は世界を見ておこうと、大学卒業後に1年間アメリカへ留学。帰国後は他社での就労経験を積むために、東京の不動産デベロッパーに就職した。しかし入社2年目、リーマンショックのあおりを受けて会社が倒産。
「今となっては、倒産に至るまでの経緯を内側から見ることができたのはとても良い経験でした。その後、法人向けの不動産売買の会社に再就職し、営業部に配属され、数年後には後輩を指導する立場になって自信も付いたので、家業に腰を据えようと2012年に岩田地崎建設に入社しました」
岩田さんは入社当時、北海道の本社ではなくあえて東京支店勤務を選択した。総務として営業支援や採用に携わり、会社の全体像を把握しながら、課題や改善点を丁寧に洗い出していった。他社で働いた経験があったからこそ、比較して見えてくるものは多かったようだ。
「将来的には会社をけん引することを見据え、大学院にも入り経営を学びました。働きながら学ぶのは大変でしたが、少しでも経営に関する資質や能力を身に付けたかった。架空の課題についてディスカッションしたり、擬似的な経営判断をするなど実践的な授業内容が、必ず役に立つと信じていました」
2016年、経験と知識を携えて北海道本社に異動した岩田さんは、取締役常務に就任。他社の経営者や周囲の従業員に支えられながら経営改善に試行錯誤した。取締役としては年齢も若く、初めは実績不足で悩むことも多かった。
「身の回りの小さな制度や体制を変えていくことから始めて、その都度自分の思いを目の前の従業員一人ひとりに伝えていきました。自分の価値観を共有することで、徐々に社員が自分の思いを代弁してくれるようにもなり、時間はかかりましたが社内に私の考えや方針が浸透していくのを実感できましたね」
「今となっては、倒産に至るまでの経緯を内側から見ることができたのはとても良い経験でした。その後、法人向けの不動産売買の会社に再就職し、営業部に配属され、数年後には後輩を指導する立場になって自信も付いたので、家業に腰を据えようと2012年に岩田地崎建設に入社しました」
岩田さんは入社当時、北海道の本社ではなくあえて東京支店勤務を選択した。総務として営業支援や採用に携わり、会社の全体像を把握しながら、課題や改善点を丁寧に洗い出していった。他社で働いた経験があったからこそ、比較して見えてくるものは多かったようだ。
「将来的には会社をけん引することを見据え、大学院にも入り経営を学びました。働きながら学ぶのは大変でしたが、少しでも経営に関する資質や能力を身に付けたかった。架空の課題についてディスカッションしたり、擬似的な経営判断をするなど実践的な授業内容が、必ず役に立つと信じていました」
2016年、経験と知識を携えて北海道本社に異動した岩田さんは、取締役常務に就任。他社の経営者や周囲の従業員に支えられながら経営改善に試行錯誤した。取締役としては年齢も若く、初めは実績不足で悩むことも多かった。
「身の回りの小さな制度や体制を変えていくことから始めて、その都度自分の思いを目の前の従業員一人ひとりに伝えていきました。自分の価値観を共有することで、徐々に社員が自分の思いを代弁してくれるようにもなり、時間はかかりましたが社内に私の考えや方針が浸透していくのを実感できましたね」
会社という垣根を越えて、安心で豊かな未来を創る。
「弊社は時代と共に柔軟に変化をしながら2022年に100周年を迎えました。その際、新たに『安心で豊かな社会環境づくりに貢献する』をミッションとして掲げたことは、現在の事業や会社の方針に大きく影響しています」
事実、現在は建設業の垣根を越えて、地域や社会へ貢献する事業にも携わっている。最近では興部町と大阪大学で共同開発した、家畜のふん尿から出るバイオガスを液体燃料のメタノールに変換する技術を実用化すべく、エアウォーター株式会社と共同研究協定を結んだ。今後も脱炭素に向けた取り組みをはじめとして、企業の垣根を越えた社会貢献を進めていく。
「一社では難しいことも、産学官が連携することで実現が可能になることを体感しました。地域に元気がないと土木や建築のニーズも高まらないため、特に人口減少や高齢化が深刻な地域における町づくりは重要です。今後も地域の活性化を目指して事業展開していきたいと考えています」
会社としては労働環境の変革期にもあると話す岩田さん。建設業界は他の業界に比べて労働環境の改善が遅れており人材不足、特にデジタル社会に適応できる若い人員の不足が大きな問題になっている。
「今後は従業員の幸せを考え、より働き方改革に注力したい。ここで働く人をはじめ、当社とかかわるすべての人が幸せになれる未来を創造していくことが目標です。幸せの輪が、北海道から道外、海外へと広がっていくよう成長を続けていきたいですね」
事実、現在は建設業の垣根を越えて、地域や社会へ貢献する事業にも携わっている。最近では興部町と大阪大学で共同開発した、家畜のふん尿から出るバイオガスを液体燃料のメタノールに変換する技術を実用化すべく、エアウォーター株式会社と共同研究協定を結んだ。今後も脱炭素に向けた取り組みをはじめとして、企業の垣根を越えた社会貢献を進めていく。
「一社では難しいことも、産学官が連携することで実現が可能になることを体感しました。地域に元気がないと土木や建築のニーズも高まらないため、特に人口減少や高齢化が深刻な地域における町づくりは重要です。今後も地域の活性化を目指して事業展開していきたいと考えています」
会社としては労働環境の変革期にもあると話す岩田さん。建設業界は他の業界に比べて労働環境の改善が遅れており人材不足、特にデジタル社会に適応できる若い人員の不足が大きな問題になっている。
「今後は従業員の幸せを考え、より働き方改革に注力したい。ここで働く人をはじめ、当社とかかわるすべての人が幸せになれる未来を創造していくことが目標です。幸せの輪が、北海道から道外、海外へと広がっていくよう成長を続けていきたいですね」
岩田地崎建設株式会社
1922年(大正11年)、土木建築を請け負う岩田組として札幌市で創業。道路、トンネル、橋、空港や港の造成、教育・医療・商業施設、オフィスビルの建設など、社会基盤を作る土木業、建設業を担う。2007年に株式会社地崎工業と合併。2022年、創業100周年を迎えた。現在はまちづくりや社会貢献事業にも携わっている。

本インタビューはUHB(北海道文化放送)のトーク番組「BOSS TALK」とのコラボ企画により収録されました。
BOSS TALK
北海道を愛し、北海道の活性化を目指す“BOSS”が北海道の未来と経営について楽しく、真剣に語り合う“TALK”番組。独立するまでの道のり、経営者としての思い、転機となった出会いや目指す未来などを語ります。
北海道を愛し、北海道の活性化を目指す“BOSS”が北海道の未来と経営について楽しく、真剣に語り合う“TALK”番組。独立するまでの道のり、経営者としての思い、転機となった出会いや目指す未来などを語ります。
※番組は2023年9月26日で終了しています。
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