馬具・革小物と共に、空知の魅力を世界へ。【ソメスサドル株式会社】
2024年9月9日 公開
日本唯一の馬具メーカーとして競馬や乗馬で使われる鞍(くら)などを製造し、世界中の一流ジョッキーから愛されるソメスサドル株式会社。高い技術力を用いて製造したバッグ・財布などの革小物も、多くの人を魅了している。代表の染谷さんに同社のものづくりに対するこだわり、社長就任の経緯や今後の展望などを伺った。
まちの再興と、困難から誕生したオンリーワンのものづくり。
ソメスサドルの前身であるオリエントレザー株式会社は、炭鉱閉山後の歌志内市で、まちの再興の起爆剤として、東京の商社を中心に、札幌市や歌志内市の政財界のさまざまな協力で1964年に設立された企業だ。
創業以来の高い技術力は世界中のジョッキーに支持され、世界最高峰レースである凱旋門賞では同社の馬具を用いた騎手が何度も優勝を飾ったという。日本競馬界のレジェンドである武豊騎手も愛好する一人であり、商品開発にも携わっている。「伝統の技を守りつつ、新風を吹き込みながら多くのジョッキーに愛される馬具に仕上げるのが当社のものづくりです」と染谷さんは話す。
一方でバッグや財布などの革小物メーカーとしての顔も持つ同社。1970年代、国内市場の新規開拓のために始めた事業だという。
「輸出が中心の馬具だけでは経営が厳しいという逆境から誕生しましたが、今では馬具を超えるソメスサドルの主力事業です。伝統と高い技術が評価され、洞爺湖サミットでは各国首脳への贈答品として当社のバッグが選ばれたこともありました」
創業以来の高い技術力は世界中のジョッキーに支持され、世界最高峰レースである凱旋門賞では同社の馬具を用いた騎手が何度も優勝を飾ったという。日本競馬界のレジェンドである武豊騎手も愛好する一人であり、商品開発にも携わっている。「伝統の技を守りつつ、新風を吹き込みながら多くのジョッキーに愛される馬具に仕上げるのが当社のものづくりです」と染谷さんは話す。
一方でバッグや財布などの革小物メーカーとしての顔も持つ同社。1970年代、国内市場の新規開拓のために始めた事業だという。
「輸出が中心の馬具だけでは経営が厳しいという逆境から誕生しましたが、今では馬具を超えるソメスサドルの主力事業です。伝統と高い技術が評価され、洞爺湖サミットでは各国首脳への贈答品として当社のバッグが選ばれたこともありました」
父や叔父から受け継いだ、「人は財産」という思い。
染谷さんは父や祖父も経営に携わっていたことから、幼いころから倉庫に並ぶ革製品に囲まれて育ったという。
「馬具だけではなく、当時製造していた警察官の拳銃ホルダーや自衛隊のスキーの装具など、普通の人はなかなか目にしないような革製品もありました。常に革独特のにおいが身近にある暮らしでしたね」
高校卒業までを歌志内市で過ごした染谷さんは、群馬県の大学へ進学。経済学を学んでいたものの、会社の後継については考えないようにしていたという。
「北海道から関東圏へ出たことで、さまざまな刺激を受けました。後継にとらわれず、『自分は何がしたいのか』『何に向いているのか』、その答えを見つけようともがいていたように思います。当時は父が社長だったため、単純に家族と同じ職場で働くことに抵抗があったというのもありますね」
大学卒業後は北海道には戻らず、さまざまな仕事をしていた染谷さん。しかし当時、ソメスサドルの専務であった叔父の染谷昇さんに声を掛けられたことをきっかけに、2006年、30歳で就職する。
「ちょうど青山に直営店を出すタイミングで協力してほしいということだったので店舗の立ち上げに携わったり、経験のあったデザイン関係の仕事を請け負ったりしていました。そうこうしているうちに2009年、父を継いで叔父が社長に就任することになり、北海道に異動。その流れで東京支社は私が牽引していくことになりました」
支社長として働いていた染谷さんは2021年、45歳で社長の座に就くことになる。コロナ禍で業績が悪化し、社内体制の見直しが必要なタイミングでの就任だった。
「これ以上悪くなりようがないと腹をくくり、事業にかかわるコストを徹底的に洗い出して見直しました。ただ、人材だけは守り抜こうと決め、人員整理は行いませんでした。会社にとって人は一番の財産です。『社員とその家族を守る』という姿勢は父や叔父から受け継いだものの一つでもあります」
「馬具だけではなく、当時製造していた警察官の拳銃ホルダーや自衛隊のスキーの装具など、普通の人はなかなか目にしないような革製品もありました。常に革独特のにおいが身近にある暮らしでしたね」
高校卒業までを歌志内市で過ごした染谷さんは、群馬県の大学へ進学。経済学を学んでいたものの、会社の後継については考えないようにしていたという。
「北海道から関東圏へ出たことで、さまざまな刺激を受けました。後継にとらわれず、『自分は何がしたいのか』『何に向いているのか』、その答えを見つけようともがいていたように思います。当時は父が社長だったため、単純に家族と同じ職場で働くことに抵抗があったというのもありますね」
大学卒業後は北海道には戻らず、さまざまな仕事をしていた染谷さん。しかし当時、ソメスサドルの専務であった叔父の染谷昇さんに声を掛けられたことをきっかけに、2006年、30歳で就職する。
「ちょうど青山に直営店を出すタイミングで協力してほしいということだったので店舗の立ち上げに携わったり、経験のあったデザイン関係の仕事を請け負ったりしていました。そうこうしているうちに2009年、父を継いで叔父が社長に就任することになり、北海道に異動。その流れで東京支社は私が牽引していくことになりました」
支社長として働いていた染谷さんは2021年、45歳で社長の座に就くことになる。コロナ禍で業績が悪化し、社内体制の見直しが必要なタイミングでの就任だった。
「これ以上悪くなりようがないと腹をくくり、事業にかかわるコストを徹底的に洗い出して見直しました。ただ、人材だけは守り抜こうと決め、人員整理は行いませんでした。会社にとって人は一番の財産です。『社員とその家族を守る』という姿勢は父や叔父から受け継いだものの一つでもあります」
ものづくりへの思いと、空知の魅力を伝えたい。
ソメスサドルは2024年で60周年を迎える。人間でいえば還暦の節目を迎える今年、リブランディングプロジェクトを立ち上げた。
「より多くのお客さまに愛されるブランドを目指して、改めてソメスサドルとは何なのかを伝えるための記念サイトを作りました。新たなロゴマークのお披露目と共に、ブランドコンセプトやこれまでの歴史をまとめています。現在60周年記念商品として限定の鞍やボストンバッグ、アタッシェケースも製造中です。製造過程もサイトから見ることができるので、ぜひ多くの人に訪れていただければと思います」
同社の商品はどれも、見た目のデザインだけではなく「道具」としての機能性を重視して製造されている。ウェブサイトには修理実績も掲載されており、アフターケアまで万全だ。
「どの商品も、お客さまに使い込んでいただいて、革がなじんでようやく完成品になります。革の風合いは使い方次第で変化するため、お客さまにとってはどれも大切な一点ものです。だからこそ、修理相談にも丁寧に応じたいという思いがあるんです」
こうしたものづくりへの熱い思いに引かれて、最近では全国からも求人に関する問い合わせが来ると染谷さんは顔をほころばせる。
「過疎化や高齢化が進む砂川市ですが、地場企業とも手を取り合いながら、雇用対策やまちの魅力発信にも注力していきたいですね。地域還元のベースをつくるためにも、世界に通用する馬具・革製品のメーカーとして今後も成長を続けていきたいと考えています」。
「より多くのお客さまに愛されるブランドを目指して、改めてソメスサドルとは何なのかを伝えるための記念サイトを作りました。新たなロゴマークのお披露目と共に、ブランドコンセプトやこれまでの歴史をまとめています。現在60周年記念商品として限定の鞍やボストンバッグ、アタッシェケースも製造中です。製造過程もサイトから見ることができるので、ぜひ多くの人に訪れていただければと思います」
同社の商品はどれも、見た目のデザインだけではなく「道具」としての機能性を重視して製造されている。ウェブサイトには修理実績も掲載されており、アフターケアまで万全だ。
「どの商品も、お客さまに使い込んでいただいて、革がなじんでようやく完成品になります。革の風合いは使い方次第で変化するため、お客さまにとってはどれも大切な一点ものです。だからこそ、修理相談にも丁寧に応じたいという思いがあるんです」
こうしたものづくりへの熱い思いに引かれて、最近では全国からも求人に関する問い合わせが来ると染谷さんは顔をほころばせる。
「過疎化や高齢化が進む砂川市ですが、地場企業とも手を取り合いながら、雇用対策やまちの魅力発信にも注力していきたいですね。地域還元のベースをつくるためにも、世界に通用する馬具・革製品のメーカーとして今後も成長を続けていきたいと考えています」。
ソメスサドル株式会社
1964年歌志内市創業。前身はオリエントレザー株式会社。1985年ソメスサドル株式会社に社名を変更し、日本唯一の馬具メーカーとして世界中に愛されている。1995年には砂川市へ本社を移転し、ショップ併設の工場を新設。バッグや財布などの革小物も、品質の高さとデザインの美しさで人気が高い。2024年、60周年を迎えた。

BOSS TALK
本インタビューはUHB(北海道文化放送)のトーク番組「BOSS TALK」とのコラボ企画により収録されました。
北海道を愛し、北海道の活性化を目指す“BOSS”が北海道の未来と経営について楽しく、真剣に語り合う“TALK”番組。独立するまでの道のり、経営者としての思い、転機となった出会いや目指す未来などを語ります。
本インタビューはUHB(北海道文化放送)のトーク番組「BOSS TALK」とのコラボ企画により収録されました。
北海道を愛し、北海道の活性化を目指す“BOSS”が北海道の未来と経営について楽しく、真剣に語り合う“TALK”番組。独立するまでの道のり、経営者としての思い、転機となった出会いや目指す未来などを語ります。
UHBにて毎週火曜日深夜0時25分〜放送中!
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