注目企業のトップに聞くin北海道【HOKKAIDO IWAMIZAWA FU(エフユー)】
2021年11月29日 公開
バスケクラブを「ハブ」として、地域の活性化とスポーツ教育の底上げを。

松重宏和さん(写真中央/リモートで参加)/岩見沢市出身。大手人材会社や広告会社を経て2019年に独立。クリエイティブの力でブランディングやプロモーションを支援。
田尻洋輔さん(写真右)/札幌市出身。全日本学生選抜大会や全国クラブ選手権大会に出場。プレイヤー兼GMとし選手の育成や競技の魅力発信にも注力。
デジタルツールを活用した新しい仲間集め。
松重:僕の出身は岩見沢です。上京して広告制作に携わり、2年ほど前に独立してからは「地域活性化」の仕事に力を入れたいと思うようになりました。さまざまな地域の方にお話を聞いたところ、カギになると感じたのは街に「熱狂できるもの」を作ること。その可能性を十分に秘めているのがスポーツだと思いました。岩見沢にはプロスポーツチームがないため、「スポーツ」で恩返しができるのではないかという構想を描き始めたころ、帰郷のタイミングで出会ったのが辻本です。
辻本:僕は岩見沢でボール運動指導プログラム「バルシューレ」を子どもたちに教える取り組みを続けています。その中で子どもたちが将来的に趣味としてもプロとしてもスポーツを楽しめる多様な環境を用意するために、プロスポーツクラブを立ち上げたいと思っていました。
松重:バルシューレはとりわけバスケットと相性が良く、その特徴を生かして選手の育成を軸としたクラブを作ろうと意気投合したんです。
―ちなみに、お二人はバスケット経験者?
松重:私も辻本も経験はありません。そのため、最初に取り組んだのはクラブのビジョンをまとめることです。仲間や選手を募るには、目指すべき理想像や行動指針が「共通言語」として機能すると考えました。
辻本:何度もオンラインミーティングを重ね、クラブのフィロソフィーを「すべては『ワクワク』する未来のために。」と掲げました。
松重:コロナ禍でオンラインが広く浸透したことも追い風になりました。SNSを中心に新しいデジタルツールを活用することで、徐々に仲間が増えてきたんです。
田尻:僕も選手として「ワクワク」に共感した一人です。コロナ禍でバスケを媒介とするつながりが失われつつあり、競技の魅力を伝える術がなく八方ふさがりの状況でした。岩見沢にバスケクラブを作ることやデジタルツールを使った新しい発信方法に可能性を感じ、すぐに仲間入りしたんです。
地域の人が選手に親しみを感じている手応え。
松重:最初は5人制バスケのBリーグも視野に入れていましたが、正直なところ参入障壁があまりにも高いことがネックでした。次の方策を考えていた時、東京でスポーツ関連のビジネスに携わっている人から「3×3」のプロリーグもあるとアドバイスを受けたんです。
田尻:「3×3」は東京オリンピックで知名度が急上昇し、バスケ界としても盛り上げていく気運が高まっている時期でした。加えて、3人でプレイできるため、地域の少子化が進んでいっても「選択肢」に入りやすいことも理由です。
―クラブが具体的に動き出したのは?
松重:合同会社FUを設立し、選手もある程度そろった今年の4月です。「3×3」には「3x3.EXE PREMIER(通称プレミア)」というプロリーグがあり、僕らも来年の参入を目指しています。4月末には北海道で唯一の先輩プロにあたる「北海道アシル」と練習試合も行いました。
辻本:7月に記者発表を開いてからは地元のイベントにも参加し、子どもたちと交流しながらプロレスラーと「3×3」を楽しんだり(笑)、「北海道アシル」とデモンストレーションマッチをしたり、ミニバスチームのクリニック(指導)なども行いました。僕は子どもたちにバルシューレを教える役割も担っているので、親御さんと共に選手に親しみを感じてくれていることも手に取るように分かるのがうれしいですね。
松重:岩見沢を中心とする地場企業とお話しする中で、当クラブがイベントやフェスなど人が集まる場としての期待度も高いことが伺えました。僕らが地域のハブとして活性化に貢献することは十分にできると考えています。
熱狂のお手本は「北海道コンサドーレ札幌」。
辻本:岩見沢でも認知度が高まってきていますが、まだまだ課題は山積しています。大人も子どももワクワクする世界を作り、この街に「熱狂」してもらうためには、地域に寄り添い、もっと多くの方のお話に耳を傾けてニーズを形にしなければなりません。
松重:従来のスポーツビジネスはスポンサーやスクール、イベントなどが定番の収益源ですが、今後は「3×3」の楽しさを伝え広げるためのアプローチも必要です。新しいデジタルコンテンツの開発やオンラインサロンなどで「スポーツ好き」を増やすことも大切だと思っています。
―クラブを通して北海道にどう貢献を?
田尻:「3×3」は大きなコートが必要な5人制とは異なり、自分たちからイベントなどに出向いて、プレイを見てもらう機会を作りやすいスポーツです。エンタメ性も高い競技ですから、北海道のバスケ界を発展させるために魅力を伝えていきたいと思っています。
辻本:僕はクラブで子どもたちの育成を通じて、「スポーツ教育」の大切さを伝えることで、岩見沢…ひいては北海道を日本一スポーツ環境の整った地へと押し上げたいですね。
松重:競技は異なりますが、「北海道コンサドーレ札幌」は道内の方も、道外へ出て行ったファンも、地元を応援することで一つになれる感覚を提供しているお手本のような存在です。僕らも、人が集まり、つながる場を届けることで北海道に恩返しをしたいと思っています。
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最近は練習試合を盛んに行い、選手たちのレベルアップも図っている。
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辻本さんが担当するバルシューレ教室の一コマ。この中から未来の選手が生まれるかも。
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今年10月に開催された岩見沢ねぶた祭りではエキシビジョンマッチの他、子どもたちと触れ合う場も。(提供写真)
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