注目企業のトップに聞くin北海道【株式会社CocoHarete/杉村太蔵さん】
2021年12月20日 公開
意欲ある人が挑戦しやすい環境づくりで、旭川にかつてないワクワクを。

1979年、北海道旭川市生まれ。2005年衆議院議員選挙で最年少当選を果たし、労働問題を専門に若年者雇用の環境改善に尽力。現在、タレントとしてメディアへの出演や全国各地での講演の他、実業家・投資家としても精力的に活動している。
それは地方活性化の定義づくりから始まった。
旭川市5条買物公園の一画450坪を購入し、7坪程度の小規模店舗が20数店入る商業施設を建設します。きた北海道の農畜水産物を使った料理を出す飲食店を中心に、地域文化を発信するショップなどの出店希望者を募り、2022年夏の開業を目標に現在審査や準備を進めているところです。やる気のある若手起業家を育て、買物公園に活気とにぎわいを呼び戻すことで旭川のまちを元気にしたいと考えています。
ー事業のきっかけについてお聞かせください。
国会議員時代に、夕張市が財政破綻したことに大きな衝撃を受けたのがきっかけで、地方活性化を強く意識するようになりました。その後テレビのお仕事をいただくようになって、講演などで全国500カ所くらいを訪れましたが地方はどこも元気がない。数十年間、時の政府は常に地方活性化をお題目にしているのに、地方のまちの中心部は寂れて若い人がいないのはなぜなのかと。そこで慶應義塾大学の大学院に行って勉強し直し、地方活性化の定義を作りました。それが「地域に企業数、雇用数、税収が増えること」です。これを政治の立場ではなく、今の自分ができることとして実際に取り組むのが「旭川ここはれて」事業です。
インフラではなく人への投資が活性化の鍵。
「無担保低利融資」「最低所得保証」、更には失敗しても借金が残らないスキームによる「行動経済学」を組み合わせた起業版ベーシックインカムの実験ですね。慶應義塾大学の大学院で行っているもので、音威子府村への移住を条件に最低所得を保証し、1年以内に村で起業していただくという内容の下、2018年から取り組んでいます。ゲストハウスやスナック、薫製工場などを作って、3期生の今では毎月100万円以上の売り上げを出しているんですよ。
ーそのスキームを発展させたのが「旭川ここはれて」だと。
厨房機器から店の内装まで全部こちらで用意することで、出店者の負担をなくしたのが大きなポイントです。また、売上の80%を店舗運営委託費としてお戻しするプランを用意し、売り上げが低い時にも耐えやすいシステムを整備した他、いつでも自由に店をやめられるようにしました。最低所得保証の点では、契約社員として店舗を運営するプランもあります。成功すればここを卒業してもらい、ファンドから低金利で融資し、買物公園や旭川市内の空き店舗で店を構えてもらうところまで支援する予定です。
ー非常にチャレンジしやすい環境ですね。
この事業はインフラ投資のように見えるんですけど、人が育ちやすい環境をつくっていくというのが私の狙いです。活性化に何より重要なのはリーダーを育てることなんです。今まではインフラ整備ばかりで人に投資をしてこなかった。でも、核となる人物をしっかり育てていけば、自然と地域は活性化していくんです。
チャレンジは続けてこそ成功につながる。
事業者からすると、できるだけお金を生む店舗をたくさん作りたくなりますし、駐車場にして少しでも収入を確保した方がよいのですが、こういう憩いの場を設けることが重要と考えています。演奏会などのイベントや活動の発表会、夏にはキャンプファイヤー、冬はかまくらなど、そこに行くといつも何かをやっている状況を作りたいですね。
ー旭川ここはれてがさまざまなチャレンジの場になるわけですね。
何もしないということが一番のリスクですから、時間を無駄にするという意味で。チャレンジして、もし失敗したとしても、ダメだった理由が分かれば成功に一歩近づいたことになります。いきなり大成功を収めようとは思わないで、トライアンドエラーを繰り返す。大事なのは、あきらめないで続けるっていうことなんです。
ー最後に、今後の目標をお聞かせください。
旭川は私の古里であり、ビジネスの視点ではポテンシャルの高いまちです、今一つぱっとしませんけどね(笑)。実は、札幌の皆様が遊びに行く先として旭川が候補地に挙がってくることが、私の成功の定義なんです。旭川ここはれてができたから、今度の休みに旭川に行ってみようと思えるような、札幌ではできない体験ができる場所としてのワクワクを作りたい。そうして旭川がぱっとするまちになるのが目標ですね。
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TV番組収録後、次回の打ち合わせを番組スタッフと行う杉村さん。地元経済への思いは熱い。
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「旭川ここはれて」は、食事はもちろん交流を楽しめる地域のサードプレイスとしての機能が期待される。総合プロデュース・デザインは街制作室株式会社(札幌市)。
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「けいナビ」(TVh)のスタジオにて
株式会社CocoHarete

https://www.asahikawaharete.com/
毎週土曜日11:30〜12:00
新型コロナで大きく変化した「日常」。ビジネスの現場では人と人との接触を避けながら創意工夫が続く。「近場」や「少人数」の需要を喚起する観光業界、AI・ITを駆使したスマート農業やリモートワーク、巣ごもり需要を席巻した宅配事業。道民の暮らしに寄り添い難局に立ち向かう道内企業や団体の今を伝え、その未来を探る。MC杉村太蔵が道内経済に鋭く斬り込む!
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