地域のつながりを再生させる幼児教育と地域の交流拠点「カミニシヴィレッジ」
2023年4月10日 公開
2019年に廃校となった旧上野幌西小学校が今年1月、「カミニシヴィレッジ」として生まれ変わりました。現在は認定こども園、レバンガ北海道の練習場やカフェ、レンタルスペースなど、さまざまな機能を併せ持つ地域交流拠点として活用されています。プロジェクトを手掛けた学校法人大藤学園の大谷壮史さんに詳しいお話を伺いました。
新しい幼児教育の形を模索し縁がつないだプロジェクト
旧上野幌西小学校は1989年、当時児童数1300名を超える〝マンモス校〟であった上野幌小学校から分離開校され「カミニシ」の愛称で地域に愛されてきました。しかし少子化のあおりを受け、30年後の2019年に閉校。札幌市では閉校間もなくから、隣接する旧上野幌児童会館跡と共に校舎の利活用が検討され、公募提案型売却(いわゆるプロポーザル)という形で民間への売却を進めてきました。
一方の大谷さんは約20年間、幼稚園教諭や学童保育の指導員、保育園園長等として勤務。運営の傍ら、新しい幼児教育の形を模索してきたと言います。
「我々が運営する幼稚園や保育園が子どもたちにかかわれるのはとても短い期間です。長年地域に根ざしてきた法人として、もっと家庭や地域を強く支える存在になりたいと考えた結果、幼児教育施設を核に地域コミュニティをつくるという構想に至りました。カミニシが売りに出されていると知ったのはそんなタイミングだったんです」
大谷さんとカミニシには浅からぬ縁がありました。実は大谷さんが小学生時代を過ごしたのは同校の統合元であった上野幌小学校だったのです。
「個人的にも思い入れが強い学校でしたので、見過ごしてはいけないという心境が芽生え、プロポーザルへの参加を決めました」
一方の大谷さんは約20年間、幼稚園教諭や学童保育の指導員、保育園園長等として勤務。運営の傍ら、新しい幼児教育の形を模索してきたと言います。
「我々が運営する幼稚園や保育園が子どもたちにかかわれるのはとても短い期間です。長年地域に根ざしてきた法人として、もっと家庭や地域を強く支える存在になりたいと考えた結果、幼児教育施設を核に地域コミュニティをつくるという構想に至りました。カミニシが売りに出されていると知ったのはそんなタイミングだったんです」
大谷さんとカミニシには浅からぬ縁がありました。実は大谷さんが小学生時代を過ごしたのは同校の統合元であった上野幌小学校だったのです。
「個人的にも思い入れが強い学校でしたので、見過ごしてはいけないという心境が芽生え、プロポーザルへの参加を決めました」
法人外部と積極的にかかわりアイデアをクリエイト
プロポーザルでは、購入希望価格の提示と共に事業計画書の提出が必要となります。計画書を作るにあたり、大谷さんが声を掛けたのは札幌のデザイン会社、株式会社エイプリルの代表であり、友人であったメアラシケンイチさんでした。
「以前、文章だけの分厚い計画書でプロポーザルに落ちた経験があったので、参加にあたりイメージ図やロゴを用いた計画書を作りたいと考えたのです。メアラシさんはリノベーションの具体的なアイデアや、コンセプトを考える上でも、僕のアイデアをくみ取り、具現化する強力な存在となってくれました」
更に大谷さんが声を掛けたのが、プロバスケットボールチームのレバンガ北海道。以前から練習場所を探しているという噂を聞きつけ、もしもプロポーザルに採用された際は体育館を公式練習場として使用しないかと持ち掛けたのです。
「当施設の主役は、あくまで認定こども園の園児たちや地域の方々です。けれど、レバンガ北海道が地域を盛り上げ、地域のみんながチームを応援することで、コミュニティがより活気を帯びて成長していくというストーリーが思い浮かびました」
こうした新しいアイデアが実を結び、2020年1月に売買契約を締結。リノベーションを行ったのち、翌年の今年1月にオープンしました。
「以前、文章だけの分厚い計画書でプロポーザルに落ちた経験があったので、参加にあたりイメージ図やロゴを用いた計画書を作りたいと考えたのです。メアラシさんはリノベーションの具体的なアイデアや、コンセプトを考える上でも、僕のアイデアをくみ取り、具現化する強力な存在となってくれました」
更に大谷さんが声を掛けたのが、プロバスケットボールチームのレバンガ北海道。以前から練習場所を探しているという噂を聞きつけ、もしもプロポーザルに採用された際は体育館を公式練習場として使用しないかと持ち掛けたのです。
「当施設の主役は、あくまで認定こども園の園児たちや地域の方々です。けれど、レバンガ北海道が地域を盛り上げ、地域のみんながチームを応援することで、コミュニティがより活気を帯びて成長していくというストーリーが思い浮かびました」
こうした新しいアイデアが実を結び、2020年1月に売買契約を締結。リノベーションを行ったのち、翌年の今年1月にオープンしました。
地域に開かれた場となり誰もが愛され、生きる施設に。
カミニシヴィレッジのコンセプトは「Live Together, Love Together.(共に生き、共に愛する)」。その背景には、大谷さんが抱く、昨今の子育てをめぐる環境への危機感がありました。
「僕らが育った時代は、近所に親切な大人やしかってくれる大人がたくさんいましたよね。一方、現代では幼稚園や保育園は隔離され、公園に行っても子どもの姿はあまり見られず、近所付き合いも希薄になってしまいました。子どもは教育機関や家庭だけでなく、地域と共に生きることで、人間性や感性が磨かれる、それが教育者としての僕の考えなんです」
カミニシヴィレッジでは、こうした昭和や平成に見られた地域のつながりを令和の時代に再生させるために、常に開かれた施設にしているのだと言います。
「こども園に来たパパやママがここでお茶をしてサークル活動に来る方と交流したり、近隣のお年寄りたちに子ども達を可愛がってもらったりと、『家庭』『学校』以外の交流が生まれて欲しいんです」
こうした狙い通り、オープン間もなくからダンスサークルや子どものドッジボールチームなど、さまざまな市民活動に活用されています。最近は新型コロナウイルスの収束が見え始めたこともあり、イベント等の計画もしているのだとか。
「当法人はあくまで、学校法人として認定こども園を運営し、カミニシヴィレッジという場を提供しているというスタンスです。地域コミュニティを活性化させるためには、もっとたくさんの人々が自由に出入りし、交流が生み出されなければなりません。新しい反応が起きることで、このカミニシヴィレッジ自体が成長する、そんな物語を思い描き、希望を感じています」
「僕らが育った時代は、近所に親切な大人やしかってくれる大人がたくさんいましたよね。一方、現代では幼稚園や保育園は隔離され、公園に行っても子どもの姿はあまり見られず、近所付き合いも希薄になってしまいました。子どもは教育機関や家庭だけでなく、地域と共に生きることで、人間性や感性が磨かれる、それが教育者としての僕の考えなんです」
カミニシヴィレッジでは、こうした昭和や平成に見られた地域のつながりを令和の時代に再生させるために、常に開かれた施設にしているのだと言います。
「こども園に来たパパやママがここでお茶をしてサークル活動に来る方と交流したり、近隣のお年寄りたちに子ども達を可愛がってもらったりと、『家庭』『学校』以外の交流が生まれて欲しいんです」
こうした狙い通り、オープン間もなくからダンスサークルや子どものドッジボールチームなど、さまざまな市民活動に活用されています。最近は新型コロナウイルスの収束が見え始めたこともあり、イベント等の計画もしているのだとか。
「当法人はあくまで、学校法人として認定こども園を運営し、カミニシヴィレッジという場を提供しているというスタンスです。地域コミュニティを活性化させるためには、もっとたくさんの人々が自由に出入りし、交流が生み出されなければなりません。新しい反応が起きることで、このカミニシヴィレッジ自体が成長する、そんな物語を思い描き、希望を感じています」
カミニシヴィレッジ
旧上野幌西小学校・旧上野幌児童会館跡に設立。認定こども園「新さっぽろ幼稚園・保育園」を軸に、地域交流、スポーツ振興、地域の再生、教育機関という4つのミッションを掲げている。
北海道ビジネスニュース
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