北海道ビジネスニュース【株式会社緑屋】
2020年7月27日 公開
札幌の「八百屋」が食品加工や飲食店のみならず、自社農場の運営にもトライ!

規格外の野菜を有効活用するために。

代表取締役 五十嵐基博さん
「もともとは不動産業界で働いており、仕事を通じて知り合った青果店に転職しました。ひと口に野菜と言っても季節や産地によって味わいは異なり、品種も知れば知るほど奥深い世界です。その面白みに心酔し、一念発起して独立したんです」
五十嵐さんは八百屋業を営むうちに、形や大きさが少しでも規格に満たない野菜が捨てられてしまうことにジレンマを抱えていたそうです。ピーマンやナス、にんじんなど、多くの品目は不格好でも品質は抜群。こうした規格外の野菜をうまく活用しようと、6年ほど前に「札幌スープカレーHIGUMA」を立ち上げました。
「ジャンルをカレーに決めたのは、単純に僕が好きだからです(笑)。ただ、『1日分の野菜が取れる』をキーワードに季節の野菜をふんだんに使ったことで、ありがたいことにお客様からも高い評価をいただいています」
規格外の野菜がもったいない。この食べ物を大切にする発想から、現在は札幌市内にカレー店や餃子店を3店舗展開しています。
生産から加工、販売までを自社で一貫。

「僕は農家さんとお話しする機会も多く、自ら野菜を育てることに以前から興味を抱いていました。取得した農地は広いわけではないので、お客様のニーズに合わせた野菜を小さく生産しようと思っています。加えて、札幌に流通していない珍しい香草や葉物も手掛ける予定です」
今は唐辛子や激辛南蛮を試験的に露地栽培し、収穫した香辛料は「札幌スープカレーHIGUMA」のスープカレーにも活用する見通しです。ところで、八百屋がいわば「畑違い」の農業を始めることに、リスクを感じなかったのでしょうか?
「農業経験が豊富な従業員を新たに雇用したので収穫面の心配はあまりしていません。事業の軸が八百屋ということもあり、売り先もある程度確保できると考えています。ビジネスの見込みよりも、生産から加工、そして販売まで一貫したいという思いが自分を突き動かしました」
今後は農場からほど近い札幌手稲エリアに、野菜とフルーツをテーマにしたカフェもオープンする予定。「朝収穫したばかりのフレッシュな野菜をカフェで提供するなど、農業を始めることで飲食事業の広がりにも期待ができます」と五十嵐さんは笑います。
社員が楽しめる仕事を生み出すことも使命。

「最近は働き方も社員の望むスタイルに合わせるようにしています。例えば、スープカレー店では4週6休と4週8休を選べるようにし、給与と休みのバランスをスタッフに決めてもらっているんです」
野菜の加工工場では30分刻みのシフトを用意。お子さんを保育園に預けている間だけ無理なく働きたいなど、さまざまなニーズに応えられるよう工夫しているといいます。さらに、適性や希望によって持ち場を異動できる他、「調理が好きだからキッチンしかしたくない」という声にも柔軟に対応しているそうです。
「自分自身も各飲食店を趣味全開の面白い内装にするなど、楽しみながら仕事と向き合っています。むしろ、そうでなければ仕事は続きませんよね。働き方にせよ、新しい事業にせよ、労働環境にせよ、社員が楽しめる形を考えるのも自分の役割なんです」
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現在、自社農場にはビニールハウスや水耕栽培の施設を設置中。一度離農したベテラン農家を雇用し、作業を急ピッチで進めています。
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「札幌スープカレーHIGUMA」で一番人気の「奇跡のパリパリチキン」カレー。季節の野菜がたっぷりでヘルシー志向の女性に人気。
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「札幌スープカレーHIGUMA」に併設されたキャンピングトレーラー。夏場はソフトクリームとカットフルーツを販売。
株式会社緑屋
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