北海道ビジネスニュース【株式会社TomorrowFarm】
2021年6月21日 公開
「農業の応援」を軸とした多彩な事業と活動を展開し、自由に生きることも模索。

「農」の入口となった、夏場だけの田植えバイト。

代表取締役団長/会長 田中稔さん
「僕は生まれも育ちも岩見沢です。小さなころからスケボーを始め、スノーボードやサーフィンに明け暮れる少年時代を過ごしました。スノーボードライダーとして多くの大会に出場し、18歳でスポンサー契約が決まると、本格的に活動場所を札幌に移したんです」
田中さんはスノーボードの活動と並行して、いくつもの仕事を経験。そのうち、融通のきく職場として兄の生花店を手伝うようになりました。転機が訪れたのは18歳の夏。
「知人から岩見沢の北村で夏場だけ田植えのバイトを手伝えないかと相談を受けました。今までの自分なら『ムリムリ』と断っていたと思います(笑)。でも、花屋の仕事を通じて植物の力強さや魅力に心が引かれつつあり、しかもスノーボードやサーフィンも自然とともにあるものですから、興味本位で働いてみることにしました」
この経験が田中さんを大きく変えていきました。
何足ものわらじを履きながら、軸足はしっかりと農業に。
「スノーボードの楽しさを地元に伝え、自分の活躍で故郷に錦を飾ろうと息巻いていましたが、地元に農業という素晴らしい仕事と、息をのむほど美しい環境があることを今まで知らずにいたのか… という恥じらいに似た感情が胸に広がりました」
その後、田中さんはライダー活動に加え、飲食店の立ち上げやスノーボードチームのマネージャー、動画編集など数多くの仕事に携わりながら、活動範囲を広げていきました。
「何足ものわらじを履きつつ、軸足は農業に置いていますから、朝からはバリバリ農作業の日々です(笑)。初めのうちは農家さんに怒られ、しかられながら少しずつ信頼を積み重ねていきました」
仲間には農業の素晴らしさや田舎で働く豊かさを感じてもらいながら、農家の人手不足解消に役立つ取り組みを進めること約17年。気付けば思いを共にするメンバーが37人に増え、2019年からTFの会社化に奮起。2021年に設立したと振り返ります。
人間らしく生きる場を、農業の素晴らしさを。
「田植え時期には1日20人ほど農家の応援に駆け付けています。TFがいてくれて助かっているという言葉は本当にうれしいですね。メンバーには食のプロもいるので、農家さんとコラボしてキッチンカーでおいしい料理の販売をするなど、個性を生かした活動も生まれています」
3年ほど前からはデザインの仕事を持つメンバーを中心に農業のフリーペーパーを制作。子どもたちに農業の魅力や夢を伝え、農家には形に残る生き様を届けたいと初年度は100冊を発行しました。このフリーペーパーを手渡しで広げながら、思いに賛同してくれる協賛企業を募り、3年目には1500冊を発行したというから驚きです。
「他にも、農家さんから託していただいた敷地を自分たちで管理・改良し、事務所兼シェアハウスも完成させました。皆で作り上げ、今も継続している『現代版北の国から』的な環境です(笑)。この場所で自由に生きていけるスタイルを模索中なんです」
今後、田中さんは新規就農活動を経て「農業家」になる予定。農家の応援は続けながら、生産と加工と観光などによって活動を広げたいと展望を語ります。
「このままいくと、農家さんの戸数は減る一方です。けれど、僕らはこの地域の雇用を、人間らしく生きる場を、そして農業の素晴らしさを次世代へ残したいんです」
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クライアントでもある岩見沢市北村の株式会社あららぎ農産の代表、窪田順一さんと。「TFがいなきゃ、農作業が回らないから本当に助けられていますよ」と感謝の言葉を口にします。
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事務所兼シェアハウスではメンバーとのミーティングを開く他、夏は外で焚き火を囲んで語り合う場にも。
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アーティストや元オリンピック選手など、個性豊かなメンバーが農作業中。
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ここ最近発行した農業ローカルフリーペーパー「TAG MAGAZINE(タグマガジン)」の3号目。紙の質にもこだわった0円とは思えないクオリティー。
株式会社TomorrowFarm

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