サムライ煎兵衛/株式会社空と大地[札幌市]
2022年2月28日 公開
侍とせんべい屋の子孫がつくる、道産米100%のせんべい。
せんべいを焼く母の背中で飲食店への夢を抱く。
三瓶さんの実家は白石区で50年以上続く老舗「鎌田製菓」。小麦粉とバターで作った生地にピーナッツや青のりを練り込んだ「バターせんべい」は、昔懐かしい味わいで今も地域の人々から親しまれています。
「生まれてすぐのころから、せんべいを焼く母の背中を見て育ちました。とはいえ、原料から言うとクッキーに近い物です。幼いながらに『なんでウチのせんべいは甘いんだろう』と思っていました。今思えば、この疑問が飲食の世界に興味を持ったきっかけだったんです」
10代のころから飲食店の開業を目指してバイトをしていた三瓶さん。しかし独立への自信が持てないまま22歳を迎え、自動車販売の会社へ就職。4年後、コツコツ貯めたお金で再び飲食店を開こうと思いましたが、やはり成功する確信が持てず、経営を学ぶために自動車販売の会社を設立します。その後は事業が軌道に乗ったものの、飲食への夢をあきらめきれないまま30代に。全国各地を食べ歩いては、どんなお店がヒットするか研究していたそうです。
「ある時ふと、北海道は米の一大産地なのに、なぜせんべいメーカーが無いのか疑問に感じたんです。調べてみるとせんべい作りには『生地問屋』と呼ばれる工場が必須で、そのほとんどが東北にあることが分かりました。せんべいにどこか奇妙な縁を感じて、ならば自分で作ってみようと挑戦を決意したんです」
「生まれてすぐのころから、せんべいを焼く母の背中を見て育ちました。とはいえ、原料から言うとクッキーに近い物です。幼いながらに『なんでウチのせんべいは甘いんだろう』と思っていました。今思えば、この疑問が飲食の世界に興味を持ったきっかけだったんです」
10代のころから飲食店の開業を目指してバイトをしていた三瓶さん。しかし独立への自信が持てないまま22歳を迎え、自動車販売の会社へ就職。4年後、コツコツ貯めたお金で再び飲食店を開こうと思いましたが、やはり成功する確信が持てず、経営を学ぶために自動車販売の会社を設立します。その後は事業が軌道に乗ったものの、飲食への夢をあきらめきれないまま30代に。全国各地を食べ歩いては、どんなお店がヒットするか研究していたそうです。
「ある時ふと、北海道は米の一大産地なのに、なぜせんべいメーカーが無いのか疑問に感じたんです。調べてみるとせんべい作りには『生地問屋』と呼ばれる工場が必須で、そのほとんどが東北にあることが分かりました。せんべいにどこか奇妙な縁を感じて、ならば自分で作ってみようと挑戦を決意したんです」
門前払いが続くもあきらめなかった生地作り。
2010年、工場に協力を仰ぐため東北へと向かった三瓶さん。しかし遠路はるばる訪ねたにもかかわらず、ほとんどの会社で門前払いされたそうです。
「当時の北海道米は、まだブランドが確立されていないころでした。一方、東北は古くからの米どころであり、工場の人々もその歴史に誇りを持っています。北海道の米でせんべいを…と口にしただけで商売になるわけがないと追い払われ、しまいには北海道米なんて存在するのかと言われる始末でした。悔しくて、いつか絶対に北海道米が有名になる時代が来ますと、プレゼンをし続けました」
せんべい作りに使用する米は、一般に出回っている食用米とは異なる「加工用米」。酒造りや米菓作りのために開発され、食用米に比べて安価なのが特徴です。しかし当時は北海道で栽培されていた加工用米はわずか。仮に食用米で製造できたとしても、コストが高くなることが目に見えていたそうです。
「それでもあきらめきれず、何社もの工場を訪ね、少しでも話を聞いてくれる会社には何度も頭を下げました。ある日ついに『米100キロを持ってきたら作る』という条件付きで試作を協力してくれる工場が見つかったんです」
ようやく試作品が完成。しかし、案の定その製造コストは膨大。とても商品化できる価格ではありませんでした。三瓶さんの手元には米100キロ分の大量のせんべい生地が残りました。
「当時の北海道米は、まだブランドが確立されていないころでした。一方、東北は古くからの米どころであり、工場の人々もその歴史に誇りを持っています。北海道の米でせんべいを…と口にしただけで商売になるわけがないと追い払われ、しまいには北海道米なんて存在するのかと言われる始末でした。悔しくて、いつか絶対に北海道米が有名になる時代が来ますと、プレゼンをし続けました」
せんべい作りに使用する米は、一般に出回っている食用米とは異なる「加工用米」。酒造りや米菓作りのために開発され、食用米に比べて安価なのが特徴です。しかし当時は北海道で栽培されていた加工用米はわずか。仮に食用米で製造できたとしても、コストが高くなることが目に見えていたそうです。
「それでもあきらめきれず、何社もの工場を訪ね、少しでも話を聞いてくれる会社には何度も頭を下げました。ある日ついに『米100キロを持ってきたら作る』という条件付きで試作を協力してくれる工場が見つかったんです」
ようやく試作品が完成。しかし、案の定その製造コストは膨大。とても商品化できる価格ではありませんでした。三瓶さんの手元には米100キロ分の大量のせんべい生地が残りました。
タダ同然の「お通し」が一躍ヒット商品に。
2012年、三瓶さんがせんべい作りと並行して進めていた「おばんざいとおせんべい かまだ茶寮」が中央区・円山にオープン。大量に在庫があったせんべいを〝お通し〟や食べ放題のサービスとして、バジルやトリュフなどさまざまな味付けを加えた上で提供することにしました。「どうせ余っているなら好き放題やってやろう」という心境だったとか。
ところが、その一風変わったスタイルが話題を呼び、あっという間に人気店へと成長。その影響で、企業からも商品開発の相談が舞い込みます。そうして完成したせんべいを「札幌オータムフェスト」で限定販売したところ、期間中1万2000袋も売れ、「これからも一般販売してほしい」という声が次々と聞こえてきました。
「ちょうどそのころ、北海道米もブランドとして知名度が上昇していたこともあり、今度は自信を持って東北の工場を訪ねました。すると社長から『北海道米がブランド化すると言ってたの、当たったな』と言われたんです。そして低コストで継続して作ってくれることに決まりました」
2015年、満を持して「サムライ煎兵衛」がオープン。ユニークなネーミングには、三瓶さんのご先祖が侍であることや、せんべいの発祥が「侍がだんごを焼くよう頼んだ」という一説を反映。更に、「北海道米で世界と戦う」という、三瓶さんの強い思いも込められています。
「次の目標は、北海道にも生地工場を建てることです。北海道米で作ったせんべいを世界に広げるために、世の中へ斬り込んでいきたい。それが侍とせんべい屋の子孫である僕の挑戦です」
ところが、その一風変わったスタイルが話題を呼び、あっという間に人気店へと成長。その影響で、企業からも商品開発の相談が舞い込みます。そうして完成したせんべいを「札幌オータムフェスト」で限定販売したところ、期間中1万2000袋も売れ、「これからも一般販売してほしい」という声が次々と聞こえてきました。
「ちょうどそのころ、北海道米もブランドとして知名度が上昇していたこともあり、今度は自信を持って東北の工場を訪ねました。すると社長から『北海道米がブランド化すると言ってたの、当たったな』と言われたんです。そして低コストで継続して作ってくれることに決まりました」
2015年、満を持して「サムライ煎兵衛」がオープン。ユニークなネーミングには、三瓶さんのご先祖が侍であることや、せんべいの発祥が「侍がだんごを焼くよう頼んだ」という一説を反映。更に、「北海道米で世界と戦う」という、三瓶さんの強い思いも込められています。
「次の目標は、北海道にも生地工場を建てることです。北海道米で作ったせんべいを世界に広げるために、世の中へ斬り込んでいきたい。それが侍とせんべい屋の子孫である僕の挑戦です」
ここがこだわり!開発のポイント
米の特性に合わせてアレンジした生地
「ゆめぴりか」は甘さと香りを生かした厚めの堅焼きに。高タンパクの「ふっくりんこ」は歯ごたえを生かした薄焼き。粒感が特徴の「おぼろづき」は荒ごしのザクザク食感にしています。
「ゆめぴりか」は甘さと香りを生かした厚めの堅焼きに。高タンパクの「ふっくりんこ」は歯ごたえを生かした薄焼き。粒感が特徴の「おぼろづき」は荒ごしのザクザク食感にしています。
20種類を超えるラインアップ
しょうゆ、塩といった定番に加えて、シナモンやトリュフ塩、赤みそなど変わり種も展開。商品化する前は「かまだ茶寮」のおつまみだったため、あらゆるお酒に合う味がそろっています。
しょうゆ、塩といった定番に加えて、シナモンやトリュフ塩、赤みそなど変わり種も展開。商品化する前は「かまだ茶寮」のおつまみだったため、あらゆるお酒に合う味がそろっています。
1枚1枚、お店でじっくりと手焼き
生地を少しずつ温めて湿度を調整する「火炉(ほいろ)」を行った後、中火で何度もひっくり返し、こんがりと焼き上げます。10分ほどかかる作業ですが、全てお店で手焼きしています。
生地を少しずつ温めて湿度を調整する「火炉(ほいろ)」を行った後、中火で何度もひっくり返し、こんがりと焼き上げます。10分ほどかかる作業ですが、全てお店で手焼きしています。
サムライ煎兵衛
2015年、地下鉄東西線「円山」駅近くにオープン。株式会社空と大地はサムライ煎兵衛の他、多数の飲食店やテイクアウト専門店を手掛け、飲食店のプロデュースやコンサルティングなど幅広い展開をしています。
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