総合仕上工事業者を目指す技術者集団「伊藤塗工部」の4代目社長、伊藤龍平さんに聞いた「転機・人・未来」
2020年7月9日 公開
技術や知識より人間力を備えた人が、時代を作っていくと思います。

北海道札幌市出身。青山学院大学理工学部を卒業後、システムエンジニアとして首都圏の企業に勤務。実父である先代社長の体調不良をきっかけに札幌へとUターンし、2006年伊藤塗工部に転職する。社員経験を経て2008年より同社代表に就任。一世紀を超えた伝統を重んじる一方、IT技術や社員一人ひとりが持つ先駆的な営業センスを取り入れた時代にフィットする経営に取り組む。
ご自身にとっての転機とは?闘病中の父とお互いに覚悟を持って仕事を共にした、2年という歳月です。
父が体調を崩したという話が届いたのは入社して5年が経過した時。心のどこかでいずれ父の会社を継ぐのだろう…という思いは抱いていましたが、お世話になった会社に辞表を提出する時は、申し訳ない気持ちとさびしい気持ちが入り混じりました。
情報社会を支えるIT企業と100年の歴史を持つ塗装企業とでは環境がまさに正反対。業界の常識や専門的な技術、企業経営などを理解するまでそれなりの苦労もありましたが、社長や専務、社員などに支えられゼロベースから必死で覚えていきました。そこから2年後の2008年に四代目の社長に就任。父と一緒に仕事をしたこの2年間が、私の人生の糧になっています。
人材について思うことは?大成するのは、人間としての魅力(=人間力)を備えている人。
人間力がある人はとても魅力的です。往々にして素直で明るく、笑顔が似合います。正直で裏表がなくエネルギーに満ちている。その魅力に引き寄せられるように人が集いますし、仕事の依頼が舞い込みます。
ではどうしたらその人間力がつくのでしょう。謙虚であること、努力を惜しまないこと、すぐにあきらめないこと、もしかしたら良い上司や先輩に出会いしっかりと「叱られること」も大切でしょう、答えは1つではないと思います。かくいう私自身もまだまだ未熟、人間力を高めるために日々奮闘している最中です。
業界の未来に対する思いは?この業界ならではのやりがいを、これからもしっかりと伝えたい。
弊社も名前こそ「塗工部」ですが、最近は文化的な価値の高い施設の外装補修、マンションの大規模修繕工事請負など新たな領域でのビジネスに果敢にチャレンジしていますし、休日休暇制度を充実させたり社員に多彩な活躍の場を用意するなど現代的な仕事環境づくりにも取り組んでいます。
しかし変わらないこともあります。それはこの仕事ならではの大いなる達成感です。社会のインフラを築き、地図や後世に残る建造物をつくるこの仕事は、他の業界にはないやりがいや充足感があると思います。仕事環境の変化だけでなく、改めてこの仕事ならではの「働きがい」を伝えていくことも私たちに課された未来への宿題だと思っています。
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創業者の伊藤貞吉氏(右端)が稚内に出張に赴く際の写真。伝統ある企業ならではの1枚。
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JRタワー、モエレ沼公園ガラスのピラミッド、旧北海道庁赤れんが庁舎、旭川の旭橋など工事実績はメジャー級。
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現在社員数は56名。塗装の現場経験後は営業、管理など多彩な道が用意されている。
株式会社伊藤塗工部

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