北海道の経営者に聞く3つの質問「転機・人・未来」 総合仕上工事業者を目指す技術者集団「伊藤塗工部」の4代目社長、伊藤龍平さんに聞いた「転機・人・未来」

2020年7月9日 公開

札幌を拠点に大型建築物や橋梁の塗装やマンション等の大規模修繕工事、一般住宅のリフォームの他、自社工場における金属焼付塗装を手掛けるなど、建設業における総合仕上工事業者を目指す技術者集団「伊藤塗工部」。その四代目社長の伊藤龍平さんに「転機」「人」「未来」について尋ねてみました。

技術や知識より人間力を備えた人が、時代を作っていくと思います。

代表取締役/伊藤龍平さん(42歳)
北海道札幌市出身。青山学院大学理工学部を卒業後、システムエンジニアとして首都圏の企業に勤務。実父である先代社長の体調不良をきっかけに札幌へとUターンし、2006年伊藤塗工部に転職する。社員経験を経て2008年より同社代表に就任。一世紀を超えた伝統を重んじる一方、IT技術や社員一人ひとりが持つ先駆的な営業センスを取り入れた時代にフィットする経営に取り組む。

ご自身にとっての転機とは?闘病中の父とお互いに覚悟を持って仕事を共にした、2年という歳月です。

私にとって転機となったのは、東京から戻り、この会社の代表に就任する前の2年間、闘病中の父と一緒に仕事をした時間です。大学卒業後は習得した経営工学の知識を生かそうと、東京の大手IT企業に入社し情報通信系のエンジニアとして勤務していました。社内外の人間関係も良好で仕事にもやりがいや刺激を感じていました。
父が体調を崩したという話が届いたのは入社して5年が経過した時。心のどこかでいずれ父の会社を継ぐのだろう…という思いは抱いていましたが、お世話になった会社に辞表を提出する時は、申し訳ない気持ちとさびしい気持ちが入り混じりました。
情報社会を支えるIT企業と100年の歴史を持つ塗装企業とでは環境がまさに正反対。業界の常識や専門的な技術、企業経営などを理解するまでそれなりの苦労もありましたが、社長や専務、社員などに支えられゼロベースから必死で覚えていきました。そこから2年後の2008年に四代目の社長に就任。父と一緒に仕事をしたこの2年間が、私の人生の糧になっています。

人材について思うことは?大成するのは、人間としての魅力(=人間力)を備えている人。

仕事ができる人材に必ず備わっている力、それは人間力だと思います。例えば営業スタッフがお客様と商談をする際、値段を安くするのは誰にでもできますが、適正な値段を提示しお客様に納得していただくのはとても難しい。それを叶えることができるのは、小手先の営業力でもノウハウでもない、その人の人間力なのです。
人間力がある人はとても魅力的です。往々にして素直で明るく、笑顔が似合います。正直で裏表がなくエネルギーに満ちている。その魅力に引き寄せられるように人が集いますし、仕事の依頼が舞い込みます。
ではどうしたらその人間力がつくのでしょう。謙虚であること、努力を惜しまないこと、すぐにあきらめないこと、もしかしたら良い上司や先輩に出会いしっかりと「叱られること」も大切でしょう、答えは1つではないと思います。かくいう私自身もまだまだ未熟、人間力を高めるために日々奮闘している最中です。

業界の未来に対する思いは?この業界ならではのやりがいを、これからもしっかりと伝えたい。

少し前まで建設業界の仕事は3K(キツい、汚い、危険)と言われ、特に若い人に敬遠される傾向がありました。しかし今は業界全体の取り組みや各々の企業の努力もあり、働く環境は大きく改善され始めています。
弊社も名前こそ「塗工部」ですが、最近は文化的な価値の高い施設の外装補修、マンションの大規模修繕工事請負など新たな領域でのビジネスに果敢にチャレンジしていますし、休日休暇制度を充実させたり社員に多彩な活躍の場を用意するなど現代的な仕事環境づくりにも取り組んでいます。
しかし変わらないこともあります。それはこの仕事ならではの大いなる達成感です。社会のインフラを築き、地図や後世に残る建造物をつくるこの仕事は、他の業界にはないやりがいや充足感があると思います。仕事環境の変化だけでなく、改めてこの仕事ならではの「働きがい」を伝えていくことも私たちに課された未来への宿題だと思っています。

株式会社伊藤塗工部

大正7年創業の一世紀企業。マンションや歴史的建造物、近代商業施設等の大型建築物、橋梁などの塗装を主要業務として発展。現在はマンション・ビル等の大規模修繕工事や一般住宅の内外装改修も手掛ける。また、西区発寒には金属焼付塗装を行う工場がある。創業当時より社員育成に尽力する姿勢を貫き、特に資格取得のバックアップは非常に手厚い。
北海道札幌市東区北10条東12丁目3番8号
TEL.011-731-0294
http://www.itou-tokoubu.co.jp

北海道の経営者に聞く3つの質問「転機・人・未来」

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